フルハーネス型墜落制止用器具の特別教育

正式名: 墜落制止用器具(フルハーネス型)を用いて行う作業に係る特別教育

高さ2メートル以上で作業床を設けることが難しい場所で、フルハーネス型の墜落制止用器具を使って作業をする人に必要な特別教育です。ロープ高所作業は、この教育ではなく別の特別教育の対象です。

持っている資格や経験によって、1.5時間まで短くなります。通常は6時間ですが、法令が4区分の受講パターンを定めています。下の表で自分がどれに当たるかを確認してください。

受講時間の早見表

いちばん上が通常コースで、下にいくほど免除で短くなります。外部の講習会の「◯時間コース」も、この区分に沿って組まれています。時間は法令が定める下限です。

対象 合計 学科 実技 根拠
通常免除の条件に当たらない人全員
条文の言い方免除に該当しない全員。学科は作業に関する知識1時間、墜落制止用器具に関する知識2時間、労働災害の防止に関する知識1時間、関係法令0.5時間
6時間 4.5時間 1.5時間 規程第24条第2項・第3項
足場又はロープ高所の教育修了者 −1時間足場の組立て等の特別教育か、ロープ高所作業の特別教育を受けた人
条文の言い方規程第22条の足場の組立て等の業務、又は第23条のロープ高所作業に係る業務の特別教育を受けた者。「労働災害の防止に関する知識」1時間を省略
5時間 3.5時間 1.5時間 基発0622第1号 第2の2(2)ウ(安衛則第37条)
平成31年2月1日時点で胴ベルト型6月以上の経験者 −1時間平成31年2月1日の時点で、高さ2m以上で作業床を設けることが困難な場所で胴ベルト型安全帯を使う作業の経験が6か月以上あった人
条文の言い方平成31年2月1日時点で、高さ2m以上で作業床が困難な箇所において胴ベルト型安全帯を用いる作業に6月以上従事した経験のある者。「作業に関する知識」1時間を省略
5時間 3.5時間 1.5時間 基発0622第1号 第2の2(2)イ(安衛則第37条)
平成31年2月1日時点でフルハーネス型6月以上の経験者 −4.5時間平成31年2月1日の時点で、高さ2m以上で作業床を設けることが困難な場所でフルハーネス型安全帯を使う作業の経験が6か月以上あった人
条文の言い方平成31年2月1日時点で、高さ2m以上で作業床が困難な箇所においてフルハーネス型安全帯を用いる作業に6月以上従事した経験のある者。残るのは労働災害の防止1時間と関係法令0.5時間
1.5時間 1.5時間 0時間 基発0622第1号 第2の2(2)ア(安衛則第37条)
免除される科目の内訳(条文の言い方)5件

免許・講習の修了・経験などで、どの科目が免除されるかの内訳です。上の早見表の短いコースのうち、ここに載っている区分の分です。

該当する人 免除される科目 根拠
平成31年2月1日時点でフルハーネス型安全帯による高さ2m以上・作業床困難な作業に6月以上従事した者 学科「作業に関する知識」「墜落制止用器具(フルハーネス型)に関する知識」、実技「墜落制止用器具の使用方法等」 基発0622第1号 第2の2(2)ア(安衛則第37条)
平成31年2月1日時点で胴ベルト型安全帯による高さ2m以上・作業床困難な作業に6月以上従事した者 学科「作業に関する知識」(1時間) 基発0622第1号 第2の2(2)イ(安衛則第37条)
規程第22条(足場の組立て等)又は第23条(ロープ高所作業)の特別教育を受けた者 学科「労働災害の防止に関する知識」(1時間) 基発0622第1号 第2の2(2)ウ(安衛則第37条)
改正省令公布後、施行日(平成31年2月1日)より前に第24条の科目を受講した者 当該受講した科目(学科・実技の全部又は一部) 基発0622第1号 第2の2(2)エ(安衛則第37条)
当該科目について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者(認定するのは事業者) 当該科目の全部又は一部 安衛則第37条

調査メモ

フルハーネス型墜落制止用器具の特別教育を調べてわかったこと

この特別教育が義務になるのは、高さ2m以上で作業床を設けることが困難な場所でフルハーネス型を使って作業する場合だけです。胴ベルト型の作業は対象外ですが、6.75mを超える箇所では胴ベルト型を使えません。

通行・昇降だけなら不要。巡視や点検は「通行」「昇降」に当たらない

対象は安衛則第36条第41号のとおり「作業床を設けることが困難なところ」での作業に限られます。厚生労働省の質疑応答集(令和5年12月)は、受講していない人も作業床が設けられた箇所での作業ではフルハーネス型を使えるとしています。対象の場所でも、フルハーネス型を着けて通行・昇降するだけなら特別教育は不要です。ただし工事の進捗確認、現場巡視、点検などは「通行」「昇降」に当たらないとしています。

昇降を主な目的に、昇降しながらはしご等の健全性を確かめる場合は「昇降」に含まれます。「作業床」に法令上の具体的な定義は無く、同集は具体的な判断を所轄の労働基準監督署に相談するよう案内しています。

高所作業車のバスケット内は通常対象外。6.75m超はフルハーネス型等の使用義務

質疑応答集は、高所作業車のバスケット内の作業は通常、作業床があると認められるため、この特別教育は義務付けられないとしています。

一方、作業床が垂直にのみ昇降する構造のものを除き、高所作業車の作業床上の労働者には要求性能墜落制止用器具等を使用させる義務があり(安衛則第194条の22)、同集はそのバスケット内でも高さ6.75mを超える箇所ではフルハーネス型墜落制止用器具等の使用が義務付けられるとしています。特別教育の要否とは条件が異なります。

高所作業車の運転(道路上の走行を除く)は、作業床の高さ10m未満なら別の特別教育(学科6時間・実技3時間以上)、10m以上なら高所作業車運転技能講習の修了者などでなければ就かせられません(安衛則別表第3)。

経験で短くなるのは平成31年2月1日時点で6月以上の人だけ

通達(基発0622第1号)によると、平成31年2月1日時点で、高さ2m以上で作業床を設けることが困難な場所でフルハーネス型を使う作業に6月以上従事していれば、3科目を省略でき、残りは学科1.5時間以上です。

同じ時点で同じ条件の場所での胴ベルト型の作業に6月以上従事していれば5時間以上、足場の組立て等またはロープ高所作業の特別教育を受けていれば5時間以上です。どれにも当たらなければ学科4.5時間以上・実技1.5時間以上です。6月は継続的な従事が必要で、証明に法令で定められた基準・様式はありません。

同日より後にその作業に就いた人は経験の要件に当たらず、足場の組立て等作業主任者技能講習の修了や「とび技能士」をもって省略することもできません。

修了証の様式は無く、事業者が受講記録を3年間保存

この特別教育は平成30年厚生労働省告示第249号で規程第24条として追加され、平成31年2月1日から適用されました。事業者が自ら行ってもよく、講師に特別の資格要件はありませんが、科目について十分な知識・経験を有する者でなければなりません。修了証は実施者が自主的に発行しているもので、様式はありません。

事業者には、特別教育の受講者・科目等の記録を作成して3年間保存する義務があります(安衛則第38条)。旧規格の安全帯を要求性能墜落制止用器具とみなす経過措置は、2022年1月1日をもって終了しました(同集)。

この講習のきまり

区分 特別教育
対象業務 高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具(令第13条第3項第28号)のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務。ロープ高所作業に係る業務(安衛則第36条第40号)は除く。
根拠 労働安全衛生法第59条第3項/労働安全衛生規則第36条第41号/同規則第39条
科目・時間の根拠 安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)第24条
修了証特別教育は事業者が行う教育で、法令上の修了証交付制度は無い。事業者は受講者・科目等の記録を作成し3年間保存する義務がある(安衛則第38条)。有効期限や更新の定めも無い。機関が出す修了証は各機関が任意に交付するもので、再交付も各機関の規程による。
無資格で就かせた場合安衛法第59条第3項に違反して特別教育を行わずに就かせた場合、第119条第1号により6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金。法人にも第122条の両罰規定により罰金刑が科される。

そのほかの注意

特別教育は事業者が行う教育です(労働安全衛生法第59条第3項)。外部機関に委託することもできますが、その機関は労働局の登録を受ける必要がありません。自社で実施する場合も、受講者・科目等の記録を3年間保存します(労働安全衛生規則第38条)。

他の特別教育

出典
安全衛生特別教育規程(厚生労働省 法令等データベース)
確認日
2026-08-21
受講料について
受講料は載せていません。特別教育は事業者が行う教育で、自社で行うことも外部の講習会に頼むこともできます。外部の講習会の受講料は各主催者が決めていて、官公庁の一次情報がありません。
ご利用にあたって
法令は改正されます。受講の際は必ず出典元の最新情報と、実施機関の案内をご確認ください(免責事項)。個別のご相談には応じられません。